歯に力を加えれば、歯の位置が変わるのは、子どもも大人も同じです。
歯肉や歯を支える骨などに問題がなければ,いくつになっても矯正歯科治療は受けられます。
ただし,大人は代謝が下がっていて,中高生に比べると多少治療期間が長くなります。
さらに、矯正歯科治療上の大人と子どもの違いは、その期間の顎の成長発育を利用し、コントロールするのが可能か否かです。これらの生物学的以外にも精神的、社会的にも違いがあります。
中高生は,日常生活でもクラブ活動,そして受験もあり、また精神面でも多感な時期です。
大人にも社会のストレスはありますが、精神的,経済的には自立しています。ここは、大人の強いところです。
矯正歯科治療は、患者さんの協力が不可欠です。
中高生が親御さんが決めて,本人は矯正歯科治療をしたいという意識が薄い場合には、矯正歯科治療の三つの約束(歯を磨く、装置を使う、通院する、)が、なかなか守ってもらえず、治療の進行が遅れることがあり、苦労します。
大人の場合は,本人の「治したい」と思う気持ちが強いので、協力も得られ,むしろ,中高生より早く治療を終えることもしばしば経験します。
その一方、大人では、歯に大きなつめ物,被せ物や差し歯があったり、歯の根に問題があることもあります。
そのため、抜歯症例で本来抜歯する歯ではなく,問題のある歯を代わりに抜くこともよくあります。
その分、期間が余計にかかりますが、逆に、今後は不良な歯がなくなることで,悩みがひとつ消えることになります。
次に歯周組織に関してですが,中程度以下の歯周病の場合は、矯正歯科治療による歯の整直による歯列やかみ合わせの改善は、歯周病対策の一助になります。
ただし重症な歯周病がある場合は、矯正歯科治療による歯の移動が歯周組織の炎症を増悪を招くこともあるので矯正歯科治療が難しくなります。
しかし、大人にとっての朗報もあります。最近、矯正歯科界の中心にある歯科矯正用アンカースクリューを使う場合などは,成人になって歯槽骨が固まってこないとできません。
Implant
また最近は,目立ちにくい装置が使われることから,成人になって矯正歯科治療を始める人が増えています。